物忘れ
物忘れという言葉自体は様々な記憶障害を意味する言葉として使えますが、認知症においてはほとんどの場合、記銘力障害つまり新しいことを覚える能力の低下を意味していると考えて差し支えないでしょう。
自然な物忘れ
人間には身の回りで起きる多くの出来事を自然と覚える力があります。
その出来事の印象が非常に強ければ長期間(場合によっては一生)残る記憶となることもありますし、印象がそれほどでもなければあっという間に忘れてしまうこともあります。
頑張って覚えようとすればしっかりと覚えていられるし、そのような努力をしなければ大抵の場合いつの間にか消え去っていくものです。
記銘力には個人差があり、出来事の印象度もさまざまですので一概には言えないのですが、数時間以内前の会話の内容や自分がしていた作業内容くらいは正常であれば覚えているだろうと期待されます。
認知症における物忘れ
ところが認知症では記銘力がそのレベルを下回ってきます。そうなってくると、本人が物忘れであると自覚したり、周囲が指摘したりするようになります。
ただ注意しなければいけないのはご家族が物忘れだと考えても実際には記銘力障害ではない場合もあります。笑い話になりますが、何を言っても覚えてくれないのでご家族が認知症だと思って受診に連れてきたところ、難聴がご家族の予想以上に進んでいただけで、文字を用いれば見事な記銘力を証明された方もいらっしゃいました。
お悩みの際はご相談を
うつ病でものごとに関心がない場合も見た目の記銘力は衰えます。進行した記銘力障害であれば多くの場合診断は容易ですが、判断に悩む場合は専門の医療機関を訪れ標準化された心理検査や正確な問診、診察等を行い総合的に評価するのがよいでしょう。