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アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症については多くのところで語られ、そのすべてについて書こうとすれば大部の著書一冊でも足りませんから、ここでは大事なことでよく見過ごされていることについて記したいと思います。

「アルツハイマー型認知症」=「アルツハイマー病」ではありません

アルツハイマー病は脳内に神経原線維変化と老人斑が出現するという病理学的特徴を持つ神経変性疾患で、病理学的概念といってよいでしょう。
アルツハイマー型認知症というと、多くは70、80歳代で物忘れで発症し、うつ妄想などの精神症状や失語失認など高次脳機能障害を呈しながら徐々に身体機能、神経機能が弱っていく疾患です。

アルツハイマー型認知症の多くの方の脳病理所見はアルツハイマー病のそれと一致しますが、アルツハイマー型認知症と全く見分けのつかない臨床経過を呈しながら脳病理が違う疾患のものである方がいます。
また逆にアルツハイマー病の脳病理を有しながら、アルツハイマー型認知症とは異なる臨床経過をたどる方もいらっしゃいます。現状では患者様の生前に脳病理を調べることは非現実的でほぼ不可能といってよいですから、アルツハイマー型認知症の診断はあくまで臨床診断であるといえます。

アミロイドPETなどでそのギャップを埋める努力がなされていますが、完全に正確な診断が手軽にできるようになるのはまだ先のことでしょう。

初期のアルツハイマー型認知症の診断には、記銘力検査が有用です

上にも記しましたようにアルツハイマー型認知症の初期症状は物忘れですが、その内容は昔からよく知っていることが思い出せなくなるのではなく、日常生活の中で覚えては忘れていく数々の出来事をしばしの間覚えておく能力、すなわちできごと記憶に対する記銘力が低下するのです。

認知症のスクリーニングによく使用される長谷川式認知症スケールやミニメンタルステート検査には、記銘力の測定に当てられた項目は少なく、またそれができごと記憶の記銘力の測定に本当に適しているかというとそうとは言えません。ですから初期のアルツハイマー型認知症かどうか迷っていて本当に確かめたい場合、専門の医療機関を訪れてできごと記憶の記銘力にまで踏み込んでテストを受けるのがよいでしょう。

アルツハイマー型認知症の発症前にも発症後にもうつ病の合併は多いです

うつ病で仮性認知症になり、うつが良くなると認知症的症状も消失するから、軽々しく認知症と診断せず慎重に診断して、うつ病があればそれを治療しなさい、とよく言われます。
確かにそうですが、もう少し突っ込んで言いますと、アルツハイマー型認知症に限らず多くの認知症でうつ病が初発症状であったり前駆症状であったりするのです。もちろんこのうつ病は抗うつ薬が有効であることが多いです。
しかしうつが改善してからしばらく経過観察していますと徐々に認知症症状が出現してくることが多々あります。ですから高齢者のうつ病の場合、仮に抗うつ薬で改善しても認知症に対応できる医療機関で治療を継続するのが慎重な態度といえるでしょう。